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2008/01/21

隣人A

                7月8日

洋子は警察署3階の個室の様な部屋に連れて行かれた。

「手続きがあるのでここで待ってて下さい」

付き添っていた警官はそう言うと部屋を出て行く。

警官が出て行くと、丁度入れ違いの様に婦警に連れられた

川名が入って来た。

「少し話がしたいので・・・良いですか?」

川名がそう言うと

「本来はそう言う事は・・・分かりました、少しなら。私は表に

立っているので終わったら声をかけて下さい」

婦警は部屋を出て行った。

「本当に・・・本当に申し訳ありませんでした!!」

洋子は床にしゃがみ込み泣きながら川名に詫びた。

「もう良いですから椅子に座ってください、そんな事して欲し

くありませんから・・・」

洋子を抱え上げ椅子に座らせると、机をはさむ様に川名もコ

ートを脱ぎ座った。

洋子は泣きながら

「本当にすみません、すみません・・・すみません」

繰り返すだけだったが

「何故ですか?何故・・・」

川名が聞くと、泣きながらもゆっくりと、そして少しずつ洋子

は話し始めた。

この段階に来て嘘をついても仕方がない。

それに、やっとこの場所に来て自分のして来た愚かな行為

に気付いた洋子は包み隠さず川名に自分の思っていた事、

何故家に入ってしまったかを話した。

1人で観覧車に乗っていたのを見た事、女子高生2人との関

係が気になっていた事、家族が引っ越して来ない事、川名の

父と野口の手紙の事、「金沢まお」と言うアイドルの事、ゴミ

袋を漁ったら洋服が四角く切り取られていた事、そして、その

洋服が血で汚れていた事など、全て話した。

すると、それまで黙って聞いていた川名が大きく息を吸い口

を開く。

「・・・そうですか」

そう言うと川名はため息をついた。

「何故私がこんな格好をしてるか分かりますか?」

川名が言うと洋子は涙ぐんだ顔を上げる。

すると、今まで頭が混乱して気付かなかったが、川名は黒

のスーツに黒ネクタイと言うまるで葬式の様な格好をしている。

「四十九日なんですよ・・・」

洋子が不思議そうな顔をすると

川名は目頭を押さえ、声を潤ませながら

「あなたになんかこんな話しはしたくないですが・・・変に疑

われたままと言うのも嫌ですし、それよりも、あなたがした

事がどれだけ人の気持ちを踏みにじった行為かを分からせ

たいので話します・・・」

洋子は俯いて聞いている。

「四十九日前、飛行機事故があったのを覚えてますか?」

洋子は『あ!』と顔を上げた。

確か何とか言うアイドルがその事故で死んだと言うのが

ワイドショーでやっていた。

「その日私はその飛行機で妻と・・・大学と高校に入った

ばかりの息子と娘・・・家族4人で旅行に行く筈だった・・・」

そう言うと川名の呼吸が荒くなった。

「・・・でも、私は急の仕事が入って行けなくなった、結局旅

行は私を除いた3人で行く事になったんです・・・そして3人

はその飛行機に乗って・・・」

川名の目から涙が溢れる。

「引っ越してきたのは、あの家に居ると皆の顔を思い出して

しまうからです。私が一人で乗った観覧車は、娘が初めて

出来た彼との初めてのデートで乗った物でした。そして、そ

の娘と言うのが「金沢まお」です。・・・野口洋子は私の妻の

姉です、父はあの事故の後痴呆が進んでしまった・・・あなた

が持って行ったと言う洋服の切れ端は思い出として取ってお

きたかっただけです」

そう言うと川名は小刻みに震え始め

「・・・血が付いていたのだってその時に手を切っただけだ!」

急に声を荒げた。

「あなたがいやらしく想像した2人の娘は長女の親友で、引

っ越した先までわざわざ線香を上げに来てくれただけなんで

すよ!!洋服を脱いだ?私が他の娘もそうしてると言った?

私の家でその娘が着替えて何がおかしいんですか!その娘

が葬式に来れなかったからと渡された香典を断ったら私はそ

の娘と関係を持った事になるんですか!!あなたは・・・あな

たは自分の興味だけで・・・私の、私の唯でさえ苦しい部分を

踏みにじったんですよ!!人って言うのは色々な事を抱えな

がら生きてるんじゃないですか?それを唯の興味だけで・・・」

「・・・本当に、本当に申し訳ありません!」

洋子は床に崩れ落ちた。

「本当に・・・」

川名は床にへたり込んでいる洋子をじっと見ると、コートを手

に立ち上がり

「・・・もう良いです」

そう言って部屋から出て行った。

その後警官が戻って来ると、警官は洋子にこう告げる。

「川名さんは訴えを取り下げるそうです。このままお帰りに

なって結構です」

洋子はその場にうずくまり声を上げて泣いた。

                           おわり

これで、隣人Aは終了になります。

少しは楽しんでいただけたでしょうか?

次回は・・・今少しお待ち下さい。

ネタもそうですが、書かなきゃいけない物が他にも出来て

しまい、時間がないのです・・・

また、ブロ本始める時は大々的に宣伝させてもらいますの

で宜しくお願いしますね~♪

とにかく最終回♪

楽しんでもらえてたら嬉しいなぁ。

感想などあったらコメントもお待ちしてま~す♪

過去のブロ本リンク↓

隣人A第一話

隣人A第二話

隣人A第三話

隣人A第四話

隣人A第五話

隣人A第六話

隣人A第七話

隣人A第八話

隣人A第九話

隣人A第十話

隣人A第十一話

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ブロ本」カテゴリの記事

コメント

こういう結末だったとは…。予想外でした。
今第一話から読み通してみました。
結末を知ってから読むと、なるほど、と思う部分が多々ありました。
みんなの投票によって紆余曲折しながらも、しっかりと伏線をはり、それを回収されたのはお見事です!
8月から5ヶ月の長きに亘ってずっと楽しませていただき、本当にありがとうございました!!!
バブさんにお時間が出来たら、また是非続けてくださいね!

投稿: オスカル | 2008/01/21 23:37

最終回を読んでびっくりでした!!

私の予想とはまるで違い意外な結末♪
でも殺人事件とかドロドロな感じの終わり方じゃなくて、ホッとしま
した!

興味本位や想像だけで行動したり、話しを大きくしたら、いつかは
自分に返ってきますよ!って教訓ですよねぇ~!
何だかちょっと大人なグリム童話か日本昔ばなしって感じでした♪
さすがパブさん!!

パブさんお疲れ様でしたぁ~~!

投稿: kyo-co. | 2008/01/22 21:49

オスカルさん
ありがとうございます♪
また最初から読んでもらってたなんて・・・感激です!
時間が出来たらまた必ずやるつもりなので、その時はまた遊んでやって下さい。
いやぁ、しかし投票形式にすると、自分の思い通りには全く行かないのでどうなるかと思いましたが、最後がなんとか形になったので良かったです。
長い間稚拙な文章に付き合ってくれてありがとうございます♪
kyo-coさん
そうなんです!ミステリーっぽくはしたかったんですが、話の上だろうがなんだろうが、人を殺したりするのは嫌なので、こんな形になりました♪
アップアップの稚拙な文章に付き合っていただいてありがとうございました♪♪
次回は未定ですが、またブロ本始めたら遊んでやってください!

投稿: 隆之 | 2008/01/22 22:12

やっと謎が解けてすっきりでも、興味本位で行動していた主人公が犯罪者にまでなっちゃうなんて、恐いね〜…

投稿: 笑子 | 2008/01/23 20:34

笑子さん
感想ありがとうございます♪
人って、それぞれに抱えてる物があって・・・例えば、機嫌が悪そうな人いたとしても、その人は実は今日会社をクビになったかもしれない・・・
そんな事に興味本位で週刊誌みたいに首を突っ込むのってどうなんだ?
ってな所がラストの気持ちです♪
少しでも楽しんでもらえてたら良かったです♪

投稿: 隆之 | 2008/01/23 21:13

最終会めちゃ意外な展開だったぁ〜!!!
川名は可哀想な人だったんだねぇ…そう考えると、洋子サイテーとか思っちゃった(Тωヽ)

あたしも3月には引っ越すから、隣人には気を付けよぅ(笑)

また新たなブロ本も楽しみにしてま−す♪

投稿: ikuhime♪ | 2008/01/24 09:43

ikuhime♪さん
おお!それは気をつけないと!!
隣の人にも気をつけないとですが、ikuhime♪さんもお隣さんに興味持ち過ぎて洋子のようにならないで下さいね~(笑)

投稿: 隆之 | 2008/01/24 20:20

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